e-Sportsと言う言葉が生まれたのはインターネット技術の進歩とそれに対応するゲーム機(あるいはパソコン)の進化があったからこそです。
私が子供の頃はそもそもゲームの通信対戦なんて、ゲームボーイ同士を通信ケーブルで繋ぐ有線接続と言うアナログな方法でした。
今では世界に居る何億ものプレイヤーと家に居ながら対戦が出来る時代。
オンラインゲームという言葉も、オンラインがほぼ前提のゲームばかりになった今は死語になりつつあります。
e-Sports、それとオンラインゲームはこれまでどんな道を歩み、そして今後どんな道を進むのでしょうか。
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ゲーム機の定義が曖昧になる
ゲーム機のパソコン化
もともとゲーム機と言う物は初代ファミコンのような「ソフトを差し込んで遊ぶ物」と言う定義だけで十分説明ができる物でした。
一方でパソコンでもゲームが出来るようにはなっていたのですが、少なくとも私の少年時代において本体が高価で独特な操作性なこともあってゲーム機と言う認識はされてきませんでした。
おそらくこの認知は昭和生まれである私のような世代にとっては覆る事のない物でしょう。
ところが、現実を見るとどうでしょう。
同じゲームがパソコン、コンシューマーとマルチプラットフォームで展開されるなんて珍しくなくなりました。
私にとってパソコンはあくまでパソコンなのですが、蓋を開けてみるとこのようなブログを更新する以外ではゲームばかりやっています。
しかし、パソコンはあくまで「ゲームも出来る万能機械」と言ったスタンスに変わりありません。
さて、ゲーム機側はどうか。
Playstation2やドリームキャストでもオンライン接続が可能となっていました。
しかし、独自のネット回線契約が必要だったうえにオンライン対応のゲームは限られたタイトルだけでした。
実質的にPlayStation3と同世代のゲーム機が本格的なオンライン対応機と言えるでしょう。
PS3世代のゲーム機は大幅な表現力の向上などに注目されがちでしたが、一般的な家庭で使っているプロバイダーを使用出来るうえYouTubeなどをアプリとして再生できると言う革新的な物でした。
使い勝手は別にして、今後のゲーム機のポテンシャルを感じさせてくれました。
私はこの時、パソコンとゲーム機の垣根が取り払われる日が来る予感がしました。
スマホのゲーム機化
一方で、ネットワーク技術の発展とiPhoneのようなスマートフォンの登場によってやがて携帯ゲームはゲーム市場でも大きな地位を占めるまでに成長します。
2008年、初代iPhoneが日本に上陸しました。
その頃は携帯でゲームというとブラウザゲームが多く、アプリでヒットした物は数えるほどしかありませんでした。
また大手メーカーも参入しますが、所謂画面タップだけの単純な「ポチポチ」ゲームのような今考えるとお粗末な物ばかりでした。
しかしスマホが登場して5年、2013年にパズドラが登場してアプリゲームは爆発的に加速します。
携帯電話がガラケーではなくスマートフォンが一般的になって来た事も追い風となり、パズドラは大ヒット。
そこから1年遅れでモンスターストライクなどの現在では何千万人ものユーザーを抱えるゲームが続々登場します。
今ではパズルゲームのみならず、RPGやスポーツゲームなど多岐にわたるジャンルがスマホゲーム化されています。
携帯が「電話」ではなく一つの「高速通信機器」として進化した事により、ついにスマホもゲーム機として遜色ないレベルへと成長しました。
競技としてのゲーム
スマホゲーの発端はゲームセンター?
かつて、対戦すると言えばゲームセンターを連想するのは僕世代以上だと思います。
今でこそ普通になりましたが、オンラインで別のゲームセンターのプレイヤー達と競うと言う事は当時の僕には画期的な試みに見えました。
私がハマっていたのはクイズマジックアカデミーと言うゲーム。
全国の人たちとクイズで対戦してランキングを上げると言う、今だったら何でもない普通の事が当時は輝いて見えたものです。
同時期にオンラインで対戦するゲームと言うとWCCFやロードオブヴァーミリオンなどが連想されるのですが、いずれもレアカードを集めてナンボのシステムで初心者にはとっつきにくく感じました。
でもこれって、今のスマホゲームだったら普通に行われてる事ですよね。
そう、「ガチャ」と言うシステムです。
対戦要素はなくとも、課金する事で強いキャラクターを手に入れて攻略を楽にすると言う点ではゲームセンターのカードゲームと同じ属性であると私は感じています。
ですが、スマホゲームは競技性のある物はありますが基本的にはe-Sports向けなタイトルは限られているように見えます。
スマホゲームで「プロゲーマー」を認定しているのはメジャーどころだと私が知る限り「パズドラ」と「モンスト」くらいではないでしょうか。
一方で家庭用ゲーム機は
パソコンと家庭用ゲーム機で同じタイトルがマルチプラットフォームで発売されるようになってからと言う物、一つのゲームのプレイ人口、ひいては競技人口は合計すると結構な数になるでしょう。
そうすると、家庭用ゲーム機でプレイしていた人がよりハイスペックなパソコン版へとシフトするなどの光景は珍しくなくなりました。
私もレインボーシックスシージなんかで家庭用から引っ越した経験があります。
操作性の違いから最初は戸惑う事はある物の、基本が同じゲームなのですんなりと移行する事ができました。
このようなハード間での行き来がしやすくなって、ライトユーザーだけでなくコアなユーザーが増える事によりそこに競技性が加わる事でe-Sportsが育ちやすい土壌になったと考えられます。
ゲームの新しい生存戦略
スマホゲームは課金で、ゲーム機はダウンロードコンテンツで
ゲームと言うコンテンツで生きていくために、今はソフトの売り上げだけでは経営が成り立たなくなっているメーカーも出てきています。
逆に大手であっても、ゲームそのものではなくその中で得られる付加価値を販売する事で収益を上げる方策を取る企業が増えています。
かつてはゲームは売れたらその分だけが収益となりました。
しかし今は違います。
発売、またはリリースされてから「追加コンテンツ」(新規キャラクターのような要素も含める)を売る事で収益化する手法がメインになってきているのは皆さんも感じてらっしゃる事でしょう。
こうする事によって、膨大な時間と予算をかけて開発されたゲームの寿命を延ばす事が出来るようになりました。
勿論、タイトルによってはそんな延命措置も効かずに消える事もしばしばあります。
しかし、短期的ではなく長期的な戦略をもってゲーム開発・販売が行われるようになった結果、弊害として質の低いままリリースして後からバグや不満点を解消すると言う見切り発車なゲームが増えました。
そして大きな転換点が訪れる
2024年のパリオリンピックにおいて、e-Sprotsが正式種目として加わることが決定されました。
詳しいタイトル等はわかりませんが、練習期間のことなどを考えるともうそろそろ名前が出てきてもいいような気もします。
もしオリンピックでゲームが「健全なる競技性のあるスポーツ」と言う評価を得られるようであれば、2024年以降ゲーム業界は様変わりする事は間違いありません。
逆にそこでしくじると、大きなダメージは無くとも今以上の規模を維持する事は難しくなるでしょう。
私はパリオリンピックこそがゲームの次の時代を占う試金石だと思っています。